PMS・更年期の不調を職場で言えない働く女性へ|夜のセルフリセット術7選

PMS・更年期の不調を職場で言えない働く女性へ|夜のセルフリセット術7選

金曜の夜21時。満員電車に揺られて帰宅し、玄関で靴を脱いだ瞬間、力が抜けてその場にしゃがみ込んでしまう——。当サロンにいらっしゃる働く女性の多くが、こんな金曜夜を過ごしています。

朝からずっと続いていた頭の重さ、急に襲ってくる動悸、わけもなく涙が出そうになる気持ち。「これってPMSかな?それとも更年期?」と思いながらも、職場では誰にも言えずに笑顔で過ごしてきた一週間。本当はもう限界なのに、土日でリセットしなければ月曜が来てしまう。そんな焦りを抱えている方が少なくありません。

この記事では、30代のPMSに揺れている方も、40代でプレ更年期のサインを感じ始めた方も、両方が重なってつらい方も——働きながら不調を抱える女性へ向けて、夜のオフタイムにできるセルフリセット術7選をセラピストの視点からお伝えします。全部やる必要はありません。1つだけでも、来週のあなたが少しラクになりますように。

「言えない」働く女性の現実は、あなただけではありません

まず知っていただきたいのは、職場で不調を言えないのはあなただけではない、ということです。

東京都 働く女性のウェルネス向上委員会の調査では、更年期症状で仕事を休んだ女性のうち、実に84.7%が「更年期とは伝えずに休んだ」と回答しています。「めまいがするので」「お腹の調子が悪くて」と症状名だけぼかして伝えた方が大半で、更年期そのものを口にできた人はごくわずか。さらに31.0%が「キャリアアップや大きな仕事を引き受けることを諦めた経験がある」と答えています。

パーソル総合研究所の調査でも、40〜50代の正社員女性の44.5%が軽度以上の更年期症状を抱えながら働いていることが分かっています。あなたが「最近、わたしだけ調子が悪いのかな」と感じているとしたら、それは違います。同じように夜、ソファでぐったりしている女性が、職場のとなりの席にも、SNSの向こう側にも、たくさんいるのです。

だから、職場で言えないのはあなたが弱いからでも甘えているからでもありません。働き方や周囲の理解が、女性の体のリズムにまだ追いついていないだけ。どうか自分を責めないでください。

その動悸もザワザワも、体が正直に反応しているだけ

「ただ疲れているだけかも」「気のせいかも」と、自分の不調を小さく見積もってしまう方がとても多いのですが、その動悸もイライラも、ちゃんと体が反応しているサインです。

日本産科婦人科学会のPMS/PMDD診療指針でも、PMSの症状には動悸・悪心・めまいといった自律神経の揺らぎによる不調が含まれると示されています。「生理前にドキドキする」「電車の中でフラっとする」「なんだか気持ち悪い」――これらはすべて、ホルモンの波に体が正直に反応している証拠で、決して気のせいではないのです。

更年期も同じ仕組みです。公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会では、ホットフラッシュ・のぼせ・冷え・めまい・耳鳴り・動悸などは、女性ホルモンの減少にともなう自律神経の乱れによる症状として整理されています。閉経前後の約10年間(厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイトでは一般的に45〜55歳頃と説明)は、エストロゲンが減ることで自律神経のバランスがとても揺らぎやすい時期なのです。

PMSも更年期も、共通しているのは「ホルモンの波が自律神経を揺らしている」ということ。だからこそ、夜の時間に副交感神経を優しくオンにしてあげるケアが、しっかり効いてくるのです。

夜のセルフリセット術7選

ここからは、当サロンでも実際にお伝えしている夜のリセット術を7つご紹介します。実践しやすい順に並べていますので、まずは1〜2個から試してみてください。個人差がありますので、ご自身の体調と相談しながら取り入れていただければと思います。

① 帰宅後10分の「強制スイッチオフ」

家に着いたら、まずスマホを寝室など別の部屋に置きます。そして部屋の照明を落として間接照明に切り替えます。10分でいいので、何も予定を入れない「空白の時間」を作ること。情報のシャワーを浴び続けてきた脳に、強制的にオフのスイッチを入れてあげる時間です。

② 38〜40度のお湯で15分の足湯または半身浴

少しぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になりやすくなります。目安として15分程度。熱すぎるお湯は逆に交感神経を刺激してしまうので避けてください。シャワーだけで済ませがちな方こそ、週末だけでも湯船にゆっくり浸かる時間を作ってみてください。

③ ハミング呼吸(迷走神経のスイッチ)

口を閉じて鼻から息を吸い、「んー」と低く長く声を出しながら息を吐きます。これだけで首から胸にかけて走る迷走神経が穏やかに刺激され、心身が落ち着いていきます。詳しいやり方は迷走神経を整えるハミング呼吸の記事でご紹介しています。

④ ふくらはぎを下から上へ優しくさする

足首から膝裏に向かって、手のひらで包むようにゆっくりさすり上げます。1日中立ち仕事や座り仕事で滞ったふくらはぎを流すイメージです。強く揉む必要はありません。「気持ちいい」と感じる強さで2〜3分。心臓に血液を返す働きを助けてあげる時間です。妊娠中の方や下肢静脈瘤のある方は強く圧をかけず、「触れる」程度にとどめてください。

⑤ 温タオルを首の後ろに3分

濡らして電子レンジで温めたタオルを、首の後ろ(うなじ〜肩のつけ根)にあてます。自律神経の通り道である頸部を温めることで、ふっと全身の力が抜けていく感覚があります。目元に乗せ替えるのも気持ちいいです。

⑥ 5分のマインドフルネス呼吸

布団に入ってから、呼吸にだけ意識を向ける時間を5分。考え事が浮かんでも「考えてるな」と気づいてまた呼吸に戻る、それだけでOKです。寝つきが悪くなる方は、布団に入る前に椅子に座って行うのもおすすめです。更年期世代のマインドフルネス実践記事もあわせてご覧ください。

⑦ 就寝90分前に「明日の自分への一言メモ」

「明日は会議終わったらコンビニのアイス買って帰る」など、ささやかな楽しみを一行だけメモします。頭の中でぐるぐるしていた「明日のこと」を紙に出すことで、思考のループが断ち切れて眠りやすくなります。

7つすべてを完璧にやる必要はまったくありません。「今夜は温タオルだけ」でも十分です。完璧主義は、不調のある夜にはむしろ毒になります。

【ケーススタディ】当サロンにいらしたBさんの金曜夜リセットルーティン

ここで、当サロンにいらしたBさんのケースをご紹介します(個人が特定されないよう一部を変えています)。

Bさんは40代前半の営業職。PMSの動悸と更年期初期のホットフラッシュが重なってきた時期で、ご来店当時は「金曜の夜は玄関からソファに直行して寝落ち、土曜は一日中寝込んで、日曜の夜にまた憂鬱になる」という悪循環に悩まれていました。

ご一緒に組み立てた金曜夜のルーティンは、わずか30分のシンプルなものです。

  1. ⑤温タオルを首後ろに3分(玄関でコートを脱いだら即実行)
  2. ②38度の足湯を15分(スマホは別室)
  3. ③ハミング呼吸を5分
  4. ⑦明日の自分への一言メモ

3か月ほど続けていただいた頃から、「土曜の朝にちゃんと起きられる日が増えてきました」「日中の不意の動悸が前より気にならなくなりました」というお声をいただくようになりました。

セラピストの視点でお伝えすると、Bさんに起きた変化は「金曜の夜に副交感神経優位の時間をきちんと作れたこと」が大きかったと感じています。週の終わりに自律神経のスイッチを切り替えられると、週末の回復力が変わり、月曜の立ち上がりまで違ってきます。睡眠の質についてもっと知りたい方は40代女性の不眠タイプ別解説も参考になさってください。

セラピストから、頑張ってきたあなたへ

最後にお伝えしたいことがあります。

7つのリセット術、全部やろうとしないでください。1週間のうちに1つ、できれば「気持ちよさそう」と思えるものから始めてみてください。続けることよりも、「自分を優先する夜」を持つことそのものに意味があります。

職場で言えないのは、あなたが弱いからでも甘えているからでもありません。社会の理解と仕組みが追いついていないだけです。だからせめて、夜のオフタイムくらいは自分を一番大事にしていい時間にしてほしいのです。更年期の不調全般については更年期と自律神経の整え方も参考になさってください。

あなたの夜が、少しだけやさしい時間になりますように。

よくある質問(Q&A)

Q: PMSと更年期の症状は何が違うの?

PMSは月経の3〜10日前に現れて月経開始とともに軽減するのが特徴で、20代から40代まで幅広い年齢で報告されています。一方、更年期は閉経前後の約5年ずつ計10年(一般的には45〜55歳頃)で、エストロゲンの変動によりホットフラッシュや動悸などが月経周期に関係なく現れます。40代では両方が重なる方も多く、見分けが難しい場合は婦人科でご相談ください。

Q: 職場でPMS・更年期について上司に伝えるべき?

正解はひとつではありません。東京都の調査では84.7%が「伝えずに休んだ」と回答しており、伝えないことを選ぶ方が圧倒的多数です。信頼できる相手がいて言いやすい環境なら伝える選択もありますが、無理に開示する必要はありません。ご自身が安心できる選択を優先してください。

Q: 夜のセルフケアは何時頃に始めるのが理想?

目安としては就寝の1〜2時間前が理想です。たとえば23時就寝なら21〜22時頃から始めると、副交感神経が優位になり眠りに入りやすくなります。ただし帰宅時間が遅い日は、寝る直前でも温タオルやハミング呼吸など短時間のケアだけでも十分効果があります。

Q: 7つ全部を毎晩やるべき?

いいえ、全部やる必要はまったくありません。むしろ「今夜は温タオルだけ」「足湯だけ」と1つに絞ったほうが続きやすく、効果も感じやすいです。完璧主義は不調を悪化させてしまうこともあります。気が向いたものを1つだけ、を合言葉にしてください。

Q: 症状が重い日は何もできません。どうすれば?

何もできない日は、何もしないことが正解です。布団に入って深呼吸を3回するだけでも立派なセルフケアです。「できなかった自分」を責めないこと、それ自体が大切なリセットになります。横になりながらでもできるハミング呼吸だけ試してみるのもおすすめです。

Q: 婦人科の受診タイミングは?

日常生活に支障が出ている、症状が2か月以上続いている、市販薬で対応しきれない、気分の落ち込みが強い——このいずれかに当てはまれば受診の目安です。婦人科では血液検査でホルモン値を調べたり、漢方やホルモン補充療法など選択肢を提案してもらえます。我慢せず早めにご相談ください。

Q: ハミング呼吸は家族がいても大丈夫?

声量を抑えれば家族がいても問題ありません。低くハミングするくらいの音量で十分効果があります。気になる場合は浴室や寝室など、ひとりになれる場所で行うと安心です。お風呂上がりの脱衣所で1分だけ、というスタイルでも続けやすいです。