午後の眠気に効くのは10分の仮眠|食事でできることは二番手

更新: 2026年8月15日
午後の眠気に効くのは10分の仮眠|食事でできることは二番手

ランチのあと、会議の途中で意識が飛びそうになる。コーヒーを飲んでも効かない。午後の仕事にならない。

当サロンでも、この相談はよくお聞きします。

先に結論をお伝えします。今日の午後をどうにかしたいなら、昼休みの最後に10分だけ目を閉じること。これがもっとも確かでした。食事の工夫より、はっきりしています。

(根本的にいちばん効くのは、前の晩の睡眠を削らないことです。ただ、今夜どうにかできても今日の午後には間に合いませんので、まず日中の手立てからお話しします。)

昼休みの最後に、10分だけ目を閉じる

仮眠の長さを比べた研究があります。5分、10分、20分、30分。結果は意外なものでした。

もっとも効果的だったのは、10分。眠気も、疲労感も、作業の成績も、目を覚ました直後から良くなり、効果は2時間ほど続きました。

一方、30分眠ると、起きた直後にかえってぼんやりする時間が生まれます(仮眠の長さの比較)。長く眠ればいいわけではないのですね。

机に伏せて10分。タイマーをかけておけば十分です。

コーヒーを飲んでから、目を閉じる

もう一段、効率のいい方法があります。

コーヒーを飲んでから、15分未満の仮眠をとる。これだけで、午後の運転のふらつきが、何もしない場合よりはっきり減ったという研究があります。コーヒーだけ飲んだ場合よりも、組み合わせたほうが効いていました(カフェインと短い仮眠の組み合わせ)。

理屈を知ると納得できます。カフェインは、飲んですぐには効きません。20〜30分ほどかかります。 その待ち時間を仮眠に充てる、というわけです。目が覚める頃に、ちょうどカフェインが効いてくる。

しかもこの研究では、しっかり眠れず「うとうとする程度」でも効果がありました。眠れなくて構いません。目を閉じているだけで大丈夫です。

眠れる場所がないときは、明るいところへ

職場で目を閉じられない方もいらっしゃいます。その場合は、光が使えます。

昼食後に明るい光を浴びると、いつもの室内で過ごすより眠気と気分の落ち込みが軽くなった、という報告があります(明るい光と午後の眠気)。小さな研究で、仮眠の完全な代わりにはならないとされていますが、屋外は曇りの日でも室内よりずっと明るいので、試す価値はあります。

昼休みに少し外に出る。窓際の席で食べる。コンビニまで歩く。それだけでも違ってきます。

昼食を、重くしすぎない

食事でできることのうち、眠気そのもので効果が確かめられているのは「量」です。

軽い昼食と、その3倍近い重い昼食を食べてもらい、午後の運転を比べた研究では、重いほうが車線のふらつきも、脳波に表れる眠気も、はっきり増えました(昼食の量と午後の眠気)。

興味深いのは、食べてしばらくは差がなく、時間が経ってから差が開いたことです。食べた直後より、あとになって効いてくる。午後の後半がつらい方は、ここを見直す価値があります。

「大盛りをやめる」「定食のご飯を少なめにしてもらう」。今日からできて、お金もかかりません。

「食べる順番」は、なぜ二番手なのか

ここで、多くの記事が勧めている「食べる順番」の話をします。

野菜やタンパク質を先に食べ、ご飯やパン、麺を後にする。これで食後の血糖の上がり方が緩やかになることは、複数の研究で確認されています(野菜を先に食べる効果についての研究)。

ただし、これらは血糖を測った研究であって、眠気を測ったものではありません。 順番を変えれば眠気が軽くなる、という証拠は、今のところ見当たりませんでした。

血糖の面では意味のある工夫ですし、量を減らさずにできます。追加で試す価値はある、という位置づけでお考えください。

やり方はこうです。

  1. 野菜や汁物から(5〜10分かけて)
  2. 次に、肉・魚・卵・豆腐など
  3. 最後に、ご飯・パン・麺

丼物や麺類しか選べない日は、サラダや小鉢を一品足して、それを先に食べてください。

【事例】Rさん(44歳・経理職)の場合

当サロンにいらしていたRさんは、40歳を過ぎた頃から昼食後の眠気がひどくなったとおっしゃっていました。定食やパスタのあとは、会議中でも意識が飛びそうになるほど。

食べる順番を変え、よく噛むことを意識したところ、2週間ほどで眠気が軽くなったそうです。

ただし、これは一人の方の経過です。 ご本人も、その時期に早く寝るようにしていたとおっしゃっていました。順番だけの効果とは言い切れません。

そもそも、午後は眠くなるようにできている

以前どこかで「食べる順番」を読んで試したのに、やっぱり眠かった。そんな経験はありませんか。理由があります。

実は、午後の眠気は、昼食を抜いても起こります。

午後の眠気を扱った研究の総説には、こう書かれています。

昼食を食べていなくても、また今が何時か分からない条件でも起こる現象である

体内時計には、およそ半日の周期で覚醒度が下がる波があり、午後の眠気はその表れだと考えられています(午後の眠気についての総説)。先ほどの昼食の量を調べた研究でも、「午後の谷は体内リズムによるもので、昼食とはほとんど関係がない」と述べられています。

つまり、眠気の土台にあるのは体内時計と前夜の睡眠で、食事はそこに上乗せする要因です。だから食事だけを工夫しても、土台の部分は残ります。仮眠が効くのは、たまった眠気そのものに直接働きかけるからです。

そして身も蓋もない話ですが、前の晩の睡眠を削らないことが、いちばん効きます。仮眠と昼食の量を調べた研究は、いずれも前夜の睡眠を5時間ほどに削った状態で行われたものでした。裏を返せば、そこが足りていれば午後はずいぶん楽になります。眠れない日が続いている方は、40代女性の不眠症4つのタイプと改善法もご覧ください。

なお、午後の過ごし方については午後3時の集中力切れを防ぐマイクロブレーク活用法で、席に戻ってからの短いケアについては名古屋のオフィスでできる5分セルフケアでお伝えしています。

「血糖値スパイク」という言葉について

この記事にたどり着いた方の多くは、「血糖値スパイク」という言葉で検索されたのではないでしょうか。ここで、その言葉について整理しておきます。

実は、そういう診断名は存在しません。 医療の場では「食後高血糖」や「血糖変動」と呼ばれます。この呼び名が広まったのは、2016年のテレビ番組がきっかけでした。

もちろん、現象そのものは実在します。食後に血糖が急に上がり、その後下がる。健康診断で測る空腹時の血糖値は正常なので気づかれにくい。それを分かりやすく言い換えた言葉です(血糖値スパイクを予防しよう)。

ただ、血糖の変動と眠気を直接つないだ研究は見当たりませんでした。だからこの記事では、「あなたは血糖値スパイクです」とは言いません。眠気の強さから、自分で判断することはできないからです。

40代以降で、変わってくること

同じ食事をしていても、年齢とともに血糖の扱われ方は変わります。

エストロゲンには、インスリンの効きを保つ働きがあることが知られています(エストロゲンとインスリン抵抗性についての総説)。40代後半からこのホルモンが減っていくと、血糖のコントロールが以前より難しくなることがあります。

ここで難しいのが、更年期の不調と午後の眠気が見分けにくいことです。だるさ、集中力の低下。どちらでも起こります。

手がかりの一つは、休日や、昼食の時間をずらした日にも、同じ時間帯に眠くなるかです。食事に関係なく決まった時間に眠いなら、体内リズムや睡眠不足の影響が大きいかもしれません。一日中だるいなら、また別の原因を考えたほうがいいでしょう。

更年期の不調全般については、更年期の不調を改善する自律神経とホルモンバランスの整え方でお伝えしています。

眠気の裏に、別の原因があるとき

次のような場合は、セルフケアで様子を見るより受診をおすすめします。

  • 食事と関係なく、強い眠気やだるさが続く
  • 眠気に加えて、震え、冷や汗、動悸がある
  • 大きないびきを指摘される、睡眠中に呼吸が止まっていると言われた
  • 糖尿病を指摘されたことがある、家族に糖尿病の方がいる
  • 急に体重が減った、のどの渇きが強い、尿の量が増えた

「眠い」と「低血糖」は違います

ここは誤解が多いところです。

食後に血糖が下がる局面は誰にでもあり、それは低血糖ではありません。 医学的に低血糖と呼べるのは、震え・冷や汗・動悸などを伴い、糖分をとると症状が消える場合です。糖尿病の治療を受けていない方には、まれなことだとされています(非糖尿病者の低血糖について)。

眠気だけを根拠に「低血糖かもしれない」と食事を減らすと、かえって不調につながります。糖質を極端に抜くのもおすすめしません(糖質制限ダイエットのリスク)。

なお、腕にセンサーを付けて血糖を測る機器もありますが、糖尿病でない方が使う意義は、まだ確かめられていません。数値の解釈は専門家の間でも一致せず、正常な変動を心配しすぎてしまうという指摘もあります。眠気の原因を突き止める道具にはなりません。

今日から試すなら

優先順位をつけるなら、この順番です。

  1. 前の晩の睡眠を削らない(土台)
  2. 昼休みの最後に10分、目を閉じる(直前にコーヒーを飲めばなお良い)
  3. 昼食を重くしすぎない
  4. 眠れる場所がなければ、明るいところへ出る
  5. 食べる順番を変える(血糖の面で意味がある。追加の工夫として)

すべてやる必要はありません。眠気が来る時刻と、前の晩の睡眠時間、昼食の重さを1週間ほどメモしてみると、自分の眠気が何に反応しているかが見えてきます。

よくある質問(Q&A)

Q. 仮眠は何分がいいですか?

5分・10分・20分・30分を比べた研究では、10分がもっとも効果的でした。30分眠ると、起きた直後にかえってぼんやりする時間が生じます。眠れなくても、うとうとする程度で効果があったという報告もあります。

Q. コーヒーは飲むべきですか、控えるべきですか?

飲むなら、仮眠の直前がおすすめです。カフェインは効き始めるまで20〜30分かかるため、その待ち時間に目を閉じると、両方の効果が重なります。ただし夕方以降は、夜の睡眠に響くので控えめに。

Q. 昼食を抜けば眠くならないのでは?

そうとは限りません。午後の眠気は体内時計による部分が大きく、昼食を食べていなくても起こることが研究で確認されています。抜くよりも、重くしすぎないほうが現実的です。

Q. 食べる順番を変えれば、眠気は軽くなりますか?

食後の血糖の上がり方が緩やかになることは確認されていますが、眠気が軽くなるかを調べた研究は見当たりません。血糖の面では意味のある工夫ですので、追加で試す位置づけとお考えください。眠気そのものには、短い仮眠のほうが根拠がはっきりしています。

Q. 「血糖値スパイク」という診断を受けることはありますか?

ありません。分かりやすく言い換えた呼び名で、正式な診断名ではありません。医療の場では「食後高血糖」「血糖変動」といった言葉が使われます。現象そのものは実在しますが、眠気の強さから自分で判断することはできません。

Q. 糖質を抜けば眠くならないのでは?

そう単純ではありません。高脂肪の食事のほうが眠気が強かったという報告もあり、「糖質を減らせば眠くならない」とは言えません。極端に抜くと、疲れやすさや便通の乱れにつながることもあります。

Q. 腕にセンサーを付けて血糖を測ってみようと思います。

糖尿病でない方が使う意義は、まだ確かめられていません。数値の解釈は専門家の間でも一致せず、正常な変動を心配しすぎて不要な食事制限につながるという指摘もあります。眠気の原因を突き止める道具としては使えません。

Q. 更年期の不調なのか、午後の眠気なのか分かりません。

手がかりの一つは、休日や昼食の時間をずらした日にも同じ時間帯に眠くなるかどうかです。食事に関係なく決まった時間に眠いなら、体内リズムや睡眠不足の影響が大きいかもしれません。一日中だるい場合は、別の原因も考えられますので、一度ご相談ください。

Q. サロンの施術で午後の眠気は改善しますか?

施術は、眠気や血糖の状態を治すものではありません。当サロンでできるのは、深いリラックスを通じて休みやすい状態を支えることまでです。眠気そのものへの対処は、睡眠と食事の工夫、必要に応じた医療機関での相談が基本になります。