お酒を飲まないのに脂肪肝?30〜40代女性に増加中の非アルコール性脂肪肝の原因と対策

お酒を飲まないのに脂肪肝?30〜40代女性に増加中の非アルコール性脂肪肝の原因と対策

「お酒はほとんど飲まないのに、健康診断で脂肪肝と言われた…」そんな経験はありませんか?実は今、30〜40代の働く女性の間で、お酒を飲まないのに脂肪肝になる「非アルコール性脂肪肝」が増えているんです。日本人の約9〜30%、推定1,000万人以上がこの状態にあると言われており、決して珍しいことではありません。特に女性は40代後半から増加傾向にあります。今回は、この非アルコール性脂肪肝について、なぜ若い世代に増えているのか、そして具体的な対策方法を、セラピストの視点から分かりやすくお伝えします。

非アルコール性脂肪肝とは?基礎知識

非アルコール性脂肪肝(NAFLD:Non-Alcoholic Fatty Liver Disease)とは、お酒をほとんど飲まない人(1日あたりエタノール換算で女性20g未満、男性30g未満)の肝臓に、中性脂肪が過剰に蓄積した状態のことです。ビール中瓶1本で約20gのエタノールに相当しますので、ほぼお酒を飲まない方でもなり得る状態なんですね。

※ 病名について: 2024年8月より、国際的な病名が「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」「代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)」に変更されましたが、本記事では一般的な認知度を考慮し、従来の名称「NAFLD」「NASH」を使用しています。

肝臓は、食事から摂取した栄養素を処理・貯蔵し、体に必要な物質を作り出す「体の化学工場」のような臓器です。この肝臓に脂肪が溜まりすぎると、本来の機能が低下してしまいます。

非アルコール性脂肪肝には、大きく2つのタイプがあります。

1つ目は「単純性脂肪肝(NAFL)」です。これは肝臓に脂肪が溜まっているだけの状態で、多くの場合は生活習慣を改善することで元の状態に戻ることができます。自覚症状もほとんどないため、健康診断で初めて指摘されることが多いです。

2つ目は「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:Non-Alcoholic Steatohepatitis)」です。こちらは脂肪の蓄積に加えて、肝臓に炎症が起きている状態です。放置すると肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があり、より注意が必要な状態といえます。

重要なのは、初期段階であれば生活習慣の改善で十分に改善できるということです。適切な対策を取ることで、肝臓を健康な状態に戻すことができるんですよ。

なぜ30〜40代女性に増えているのか?5つの原因

では、なぜお酒を飲まない30〜40代の女性に脂肪肝が増えているのでしょうか?主な原因を5つご紹介します。

1. 食生活の変化と糖質の過剰摂取

忙しい毎日の中で、つい手軽に食べられるものに頼ってしまうことはありませんか?コンビニのおにぎりやパン、お菓子、甘い飲み物など、糖質中心の食事が続くと、余った糖質が肝臓で中性脂肪に変換され、蓄積されていきます。特にデスクワークが多い方は、消費カロリーも少ないため、この傾向が強くなります。

2. 運動不足と座りっぱなしの生活

在宅勤務が増えたり、一日中パソコンの前に座っていたりする生活が続くと、体を動かす機会が大幅に減ってしまいます。運動不足は、摂取したカロリーを消費できないだけでなく、筋肉量の減少にもつながり、基礎代謝が低下してしまいます。その結果、脂肪が蓄積しやすい体になってしまうのです。

3. 睡眠不足とストレス

仕事や家事、育児などで忙しく、十分な睡眠時間が取れていない方も多いのではないでしょうか。睡眠不足やストレスは、食欲を増進させるホルモンの分泌を促し、特に糖質や脂質への欲求を高めてしまいます。また、ストレスホルモンのコルチゾールは、内臓脂肪の蓄積を促進することも知られています。

4. ホルモンバランスの変化

30代後半から40代にかけて、女性ホルモンのエストロゲンが徐々に減少していきます。エストロゲンには脂質代謝を調整する働きがあるため、この変化により脂肪が蓄積しやすくなります。特に更年期前後の女性に脂肪肝が増加するのは、このホルモンバランスの変化が大きく関係しています。

5. 代謝の低下

年齢とともに基礎代謝は自然に低下していきます。20代の頃と同じ量を食べていても、30代、40代になると太りやすくなるのはこのためです。特に筋肉量が減ると、基礎代謝がさらに下がり、脂肪が蓄積しやすい体質になってしまいます。

これらの原因は、多くの場合、複合的に絡み合っています。でも、逆に言えば、一つひとつに対策を取ることで、改善の可能性は大きく広がるということです。

専門家が教える!脂肪肝改善の3本柱

日本肝臓学会のガイドライン(2020年)によると、非アルコール性脂肪肝の改善には、生活習慣の見直しが何よりも重要です。現在のところ、NAFLDそのものに対する確実に効果のある薬物治療は確立されていないため、食事・運動・体重管理という3つの柱で取り組むことが、最も確実で効果的な方法です。それぞれについて、具体的に見ていきましょう。

4-1. 食事の見直し

脂肪肝改善のためには、まず食事内容を見直すことが大切です。といっても、厳しい制限をする必要はありません。無理なく続けられる範囲で、少しずつ改善していきましょう。

意識したいポイント:

まず、糖質の摂取量を適正にすることです。白米やパン、麺類などの主食は、茶碗1杯分(約150g)を目安にして、おかわりは控えめにしましょう。また、甘い飲み物やお菓子は、できるだけ減らすことをおすすめします。どうしても間食したいときは、ナッツ類や果物を少量食べるようにすると良いですね。

次に、タンパク質をしっかり摂ることが重要です。魚、鶏肉、大豆製品などを毎食取り入れましょう。タンパク質は筋肉の維持に欠かせない栄養素で、基礎代謝を保つためにも必要です。

食物繊維も積極的に摂りたい栄養素です。野菜やきのこ、海藻類を毎食取り入れることで、血糖値の急上昇を抑え、満腹感も得やすくなります。特に食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」を心がけると、糖質の吸収を緩やかにできます。

そして、良質な脂質を選ぶことも大切です。青魚に含まれるDHAやEPA、オリーブオイルに含まれるオレイン酸など、体に良い脂質を意識的に摂るようにしましょう。逆に、トランス脂肪酸を含む加工食品や、揚げ物の食べ過ぎには注意が必要です。

食事のタイミングも重要:

夕食は就寝の3時間前までに済ませるのが理想的です。寝る直前に食べると、消費されずに脂肪として蓄積されやすくなります。また、夜遅くに食べるなら、できるだけ軽めの食事にすることをおすすめします。

4-2. 運動習慣の確立

運動は、脂肪肝改善に非常に効果的です。日本肝臓学会のガイドラインでは、週3〜4回、30〜60分程度の有酸素運動が推奨されています。より具体的には、週250分以上の中等度から強度の有酸素運動を行うことで、効果的な改善が期待できます。

取り組みやすい運動例:

まずは、ウォーキングから始めてみませんか?通勤時に一駅分歩く、昼休みに15分散歩する、夕食後に近所を20分歩くなど、日常生活に取り入れやすい方法がたくさんあります。歩くときは、少し早めのペースで、息が軽く弾む程度を目安にすると良いでしょう。

ジョギングやサイクリングも効果的です。無理のない範囲で、楽しみながら続けられる運動を選ぶことが大切です。スマートフォンのアプリで歩数や運動時間を記録すると、達成感も得られてモチベーション維持にもつながります。

また、筋力トレーニングも併せて行うことをおすすめします。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、脂肪が燃焼しやすい体になります。スクワットや軽いダンベル運動など、自宅でできる簡単なトレーニングでも十分効果があります。

運動時間が取れない方へ:

まとまった時間が取れない場合は、こまめに体を動かすことを意識しましょう。エレベーターの代わりに階段を使う、立って仕事をする時間を作る、デスクワークの合間にストレッチをするなど、日常の中で活動量を増やす工夫ができます。10分の運動を1日3回に分けても、効果は期待できるんですよ。

4-3. 体重管理

脂肪肝の改善には、適正体重に近づけることが非常に重要です。研究によると、現在の体重の7%以上を減らすことで、NASHの脂肪化や炎症が改善し、10%以上の減量では肝線維化も改善することが分かっています。

たとえば、体重60kgの方なら4.2kg以上、70kgの方なら4.9kg以上の減量で、肝臓の状態が大きく改善する可能性があるということです。

無理のない減量目標:

大切なのは、急激に体重を落とすのではなく、月に1〜2kgのペースでゆっくりと減量することです。急激な減量は、かえって肝臓に負担をかけてしまうことがあります。また、リバウンドのリスクも高くなってしまいます。

まずは、先ほどお伝えした食事と運動の改善を続けることです。それだけで、自然と体重は適正な方向に動いていきます。体重計に毎日乗って記録をつけると、変化が見えてモチベーションにもつながります。

目標を達成したら:

目標体重に到達したら、それを維持することが次の目標です。せっかく改善した肝臓の状態をキープするためにも、改善した生活習慣を続けていくことが大切です。ただし、完璧を目指す必要はありません。たまには好きなものを食べたり、運動を休んだりする日があっても大丈夫。長く続けられることが何より重要です。

生活習慣改善で大切な3つのポイント

ここまで、食事・運動・体重管理という3つの柱についてお伝えしてきました。でも、いきなり全部を完璧にこなそうとすると、続かなくなってしまうかもしれません。そこで、改善を続けていくために大切な3つのポイントをお伝えします。

1. できることから、少しずつ始める

まずは、自分にとって一番取り組みやすいことから始めてみましょう。たとえば、「毎朝10分歩く」「夕食の白米を半分にする」「エレベーターを使わない」など、小さな一歩で構いません。それを1週間、2週間と続けて習慣になったら、次のステップに進めばいいのです。

2. 完璧を目指さない

「今日は甘いものを食べちゃった」「運動できなかった」という日があっても、自分を責めないでください。大切なのは、長期的に見て生活習慣が改善されていることです。たまには息抜きも必要。次の日からまた頑張ればいいんです。

3. 定期的に検査を受ける

健康診断で肝機能の数値(ALT、AST、γ-GTPなど)をチェックしましょう。数値が改善していくのを見ると、頑張りが目に見えて、モチベーションも上がります。また、医師に相談しながら進めることで、安心して取り組めますね。

まとめ

非アルコール性脂肪肝は、お酒を飲まない30〜40代の女性にも増えている、現代的な健康問題です。でも、早期に発見して適切な対策を取れば、確実に改善できる状態なんです。

食事の見直し、運動習慣の確立、適正体重の維持という3つの柱を、自分のペースで無理なく取り組んでいきましょう。完璧を目指さず、できることから少しずつ。そして、改善した生活習慣を長く続けていくことが、肝臓の健康を守る一番の方法です。

当サロンでも、日々の生活の中で感じる体の不調や、健康維持についてのご相談をお受けしています。一人で頑張りすぎず、周りのサポートも上手に活用しながら、健康な毎日を目指していきましょう。

よくある質問

Q1: 脂肪肝は自覚症状がありますか?

A1: 非アルコール性脂肪肝の初期段階では、ほとんど自覚症状がありません。そのため、健康診断で初めて指摘されるケースが大半です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり悪化するまで症状が現れにくいのが特徴です。だからこそ、定期的な健康診断が重要なんですね。進行すると、倦怠感や食欲不振、右上腹部の不快感などが現れることがありますが、この段階では既に病状が進んでいる可能性があります。年に一度は必ず健康診断を受けて、肝機能の数値をチェックすることをおすすめします。

Q2: どのくらいの期間で改善しますか?

A2: 個人差はありますが、適切な生活習慣の改善を続けると、3〜6ヶ月程度で肝機能の数値に変化が見られることが多いです。体重が7%以上減少すると、肝臓の脂肪化や炎症が改善することが研究で示されています。ただし、これは継続的な努力があってこその結果です。短期間で劇的に変わることはないので、焦らず長期的な視点で取り組むことが大切です。月に1〜2kgのペースでゆっくりと体重を落としながら、食事と運動の改善を続けていくことをおすすめします。

Q3: サプリメントは効果がありますか?

A3: 現時点では、非アルコール性脂肪肝に対して確実に効果があると証明されたサプリメントはありません。日本肝臓学会のガイドラインでも、生活習慣の改善が唯一の確実な治療法とされています。一部のサプリメント(ビタミンE、オメガ3脂肪酸など)には研究が行われていますが、まだ十分なエビデンスは確立されていません。サプリメントに頼るよりも、まずは食事内容の改善と適度な運動に力を入れることが重要です。どうしてもサプリメントを試したい場合は、必ず医師に相談してからにしましょう。

Q4: 一度脂肪肝になったら治らないのでしょうか?

A4: いいえ、そんなことはありません。特に初期の単純性脂肪肝(NAFL)であれば、適切な生活習慣の改善により、肝臓を元の健康な状態に戻すことが十分可能です。肝臓は再生能力の高い臓器で、ダメージを受けても回復する力を持っています。現在の体重の7〜10%の減量と、継続的な運動習慣、バランスの取れた食事により、多くの方が改善を実感されています。ただし、脂肪肝炎(NASH)まで進行している場合や、肝硬変に至っている場合は、完全に元に戻すのは難しくなります。だからこそ、早期発見・早期対策が重要なのです。

Q5: 定期的な検査はどのくらいの頻度が必要ですか?

A5: 脂肪肝と指摘された方は、最低でも年に1回は健康診断を受けて、肝機能の数値(ALT、AST、γ-GTPなど)をチェックすることをおすすめします。生活習慣の改善に取り組んでいる期間は、3〜6ヶ月ごとに検査を受けると、改善の経過が確認でき、モチベーションの維持にもつながります。また、腹部超音波検査(エコー)も有効で、肝臓の状態を視覚的に確認できます。数値が正常範囲に戻ってからも、年1回の定期検査は続けることが大切です。医師と相談しながら、適切な検査間隔を決めていきましょう。

Q6: 薬での治療はできないのですか?

A6: 残念ながら、現時点では非アルコール性脂肪肝やNASHに対して、保険適用で使える確実に効果のある薬は承認されていません。海外では臨床試験中の薬もありますが、日本ではまだ実用化されていない状況です。そのため、日本肝臓学会のガイドラインでも、生活習慣の改善(食事療法・運動療法・体重管理)が第一選択の治療法とされています。糖尿病や脂質異常症を合併している場合は、それらに対する薬物治療が結果的に脂肪肝の改善につながることもあります。いずれにしても、自己判断せず、医師の診断と指導を受けることが重要です。

Q7: 運動する時間が取れない場合はどうすればいいですか?

A7: まとまった運動時間が取れなくても、日常生活の中で活動量を増やす工夫ができます。たとえば、通勤時に一駅分歩く、エレベーターの代わりに階段を使う、テレビを見ながらストレッチをするなど、「ながら運動」を積極的に取り入れてみましょう。1回10分程度の運動を1日3回に分けても効果は期待できます。また、立って仕事をする時間を作る、デスクワークの合間に簡単なストレッチや屈伸運動をするなど、座りっぱなしの時間を減らすことも大切です。完璧な運動メニューを目指すより、無理なく続けられる範囲で体を動かす習慣を作ることを優先しましょう。

Q8: 更年期との関係はありますか?

A8: はい、更年期と脂肪肝には深い関係があります。女性ホルモンのエストロゲンには、脂質代謝を調整し、内臓脂肪の蓄積を抑える働きがあります。しかし、40代後半から更年期に入ると、エストロゲンが急激に減少するため、脂肪が蓄積しやすくなります。実際、女性の非アルコール性脂肪肝は40代後半から増加する傾向にあります。更年期特有の症状(ほてり、不眠、倦怠感など)により運動量が減ったり、食生活が乱れたりすることも、脂肪肝のリスクを高める要因になります。更年期だからと諦めず、この時期だからこそ意識的に生活習慣を見直すことが、将来の健康維持につながります。