
「最近、お腹周りが気になってきたけど、これって皮下脂肪?それとも内臓脂肪?」
40 代になって体型の変化を感じ始めたあなた。体重は変わっていないのに、なんだかお腹がぽっこりしてきた気がする。ダイエットを始めようと思っても、そもそも自分の脂肪がどちらなのか分からない。
そんな悩みを抱えている女性は少なくありません。特に 40 代以降は、ホルモンバランスの変化によって脂肪のつき方も変わってきます。
実は、皮下脂肪と内臓脂肪では、健康への影響も落とし方も大きく異なるんです。今回は、どちらがより危険なのか、それぞれの見分け方と効果的な落とし方について、分かりやすく解説していきます。
皮下脂肪と内臓脂肪、そもそも何が違うの?
まずは基本的な違いから理解していきましょう。
皮下脂肪とは
皮下脂肪は、文字通り皮膚の下につく脂肪です。お腹、太もも、二の腕など、つまんで確認できる脂肪がこれにあたります。
特徴:
- 全身の脂肪の約 90%を占める
- 女性につきやすい(女性ホルモンの影響)
- 見た目への影響は大きいが、健康への直接的な害は少ない
- 落としにくいが、体を守るクッションの役割もある
内臓脂肪とは
内臓脂肪は、お腹の奥深く、内臓の周りにつく脂肪です。外からはつまめませんが、お腹がぽっこり出る原因になります。
特徴:
- 内臓(肝臓、腸など)の周りに蓄積
- 男性につきやすいが、更年期以降の女性も要注意
- 見た目以上に健康リスクが高い
- 皮下脂肪より落としやすい
どっちがやばい?健康リスクの比較
結論から言うと、内臓脂肪の方が圧倒的に危険です。
内臓脂肪が危険な理由
内臓脂肪は「悪玉脂肪」とも呼ばれ、以下のような深刻な健康リスクをもたらします:
-
心臓病リスクが大幅に増加
- 炎症性物質を分泌し、血管にダメージを与える
- 動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める
-
糖尿病のリスクが急上昇
- インスリンの働きを邪魔し、血糖値を上昇させる
- 2 型糖尿病の発症リスクが大幅に増加
-
認知症リスクも高まる
- 年齢を重ねるとともに認知機能への影響が懸念される
- 脳の炎症を引き起こす可能性があると考えられている
-
その他の健康リスク
- 高血圧
- 脂肪肝
- 睡眠時無呼吸症候群
- 特定のがん(大腸がん、乳がんなど)
皮下脂肪の健康への影響
一方、皮下脂肪は:
- 適度な量なら健康に害はない
- むしろ体を守るクッションの役割
- 過剰になると関節への負担や動きづらさの原因に
- 主に見た目の問題として気になることが多い
【体験談】内臓脂肪と向き合った女性の実例
S さん(48 歳・マーケティング職)の場合
症状
「45 歳を過ぎてから、体重は変わらないのにウエストがきつくなってきて。健康診断で内臓脂肪の数値が高いと指摘されてショックでした。見た目はそんなに太っていないのに…」
S さんは長年のデスクワークと、クライアントとの会食が多い生活で、気づかないうちに内臓脂肪が蓄積していました。
最初に試したこと
「最初は流行りの糖質制限を極端にやってしまって。確かに体重は減ったけど、疲れやすくなって仕事に支障が出てしまいました」
転機となったのは
「栄養士さんのアドバイスで、極端な制限ではなく、食べる順番を変えることから始めました。野菜 → タンパク質 → 炭水化物の順番で。そして週 3 回、30 分のウォーキングを始めたんです」
3 ヶ月後の変化
「ウエストが 5cm 減って、内臓脂肪レベルも正常値に。何より体が軽くなって、午後の疲れが減りました。極端なことをしなくても、継続すれば結果が出るんだと実感しています」
見分け方:自分はどちらのタイプ?
簡単にできる見分け方
-
つまみテスト
- お腹の脂肪をつまんでみる
- つまめる → 皮下脂肪
- つまめないけどぽっこり → 内臓脂肪
-
体型チェック
- りんご型(お腹ぽっこり)→ 内臓脂肪型
- 洋なし型(下半身太り)→ 皮下脂肪型
正確な測定方法
ウエスト周囲径
最も簡単で重要な指標です。
測り方:
- おへその高さで水平に測る
- 息を吐いた状態で測定
危険ライン:
- 女性:89cm(35 インチ)以上
- 特に注意:80cm 以上から要注意
ウエスト/ヒップ比(WHR)
より正確に脂肪の分布を把握できます。
計算方法: ウエスト ÷ ヒップ
危険ライン:
- WHO 基準:女性 0.80 以上で腹部肥満
- 一般的に 0.85 以上で高リスクとされる
ウエスト/身長比
身長を考慮した指標です。
計算方法: ウエスト ÷ 身長
理想値:
- 0.5 未満(ウエストは身長の半分以下)
それぞれの効果的な落とし方
内臓脂肪の落とし方
内臓脂肪は皮下脂肪より落としやすいという特徴があります。
1. 有酸素運動が最効果的
- 推奨時間:週 150〜300 分(1 日 30 分 ×5 日)
- 効果的な運動:
- 早歩き(時速 6km 程度)
- 水泳
- サイクリング
- ダンス
2. 食事の工夫
- 低炭水化物アプローチが特に効果的とされる
- 食べる順番:野菜 → タンパク質 → 炭水化物
- 避けたい食品:
- 砂糖入り飲料
- 加工食品
- 揚げ物
- 積極的に摂りたい食品:
- 食物繊維(野菜、きのこ、海藻)
- 良質なタンパク質(魚、鶏肉、大豆)
- 発酵食品(納豆、ヨーグルト)
3. HIIT(高強度インターバルトレーニング)
- 短時間で効果的
- 週 2〜3 回、1 回 20 分程度
- 例:30 秒全力 →30 秒休憩を繰り返す
4. 営業職の方向けの対策
会食や接待が多い方には:
- 会食時の工夫:最初に野菜料理を注文、アルコールは適量に
- 移動時間の活用:一駅歩く、階段を使う
- ストレス対策:5 分間の深呼吸、移動中の軽いストレッチ
皮下脂肪の落とし方(根気が必要)
皮下脂肪は落としにくいですが、継続すれば必ず変化が期待できます。
1. 筋力トレーニングを併用
- 筋肉量を増やして基礎代謝アップ
- 週 2〜3 回、主要な筋群を鍛える
- スクワット、腕立て伏せなど
2. 長期的な食事管理
- 極端な制限より、バランスの良い食事を継続
- カロリー収支をマイナスに(消費>摂取)
- タンパク質を体重 1kg あたり 1〜1.2g 摂取
3. 部分痩せは難しい
- 全身の脂肪を減らすアプローチが必要
- リンパケアで血流をサポートすることは有効
40 代女性特有の注意点
更年期の影響
40 代以降は女性ホルモンの減少により:
- 脂肪が内臓につきやすくなる
- 基礎代謝が低下する
- 筋肉量が減少しやすい
対策のポイント
- タンパク質摂取を意識的に増やす
- 筋力トレーニングは必須
- 睡眠の質を高める(7〜8 時間)
- ストレス管理を重視
期待できる変化の目安
多くの方が気になる「どのくらいで変化が出るか」について:
内臓脂肪の場合
- 1 ヶ月目:体が軽くなる実感、疲れにくさを体感
- 2 ヶ月目:ウエスト 2〜3cm 減少
- 3 ヶ月目:ウエスト 5cm 前後減少、健康診断の数値に変化
皮下脂肪の場合
- 1〜2 ヶ月目:目に見える変化は少ないが、体調の変化を実感
- 3〜4 ヶ月目:サイズに変化が現れ始める
- 6 ヶ月目:明確な体型の変化を実感
継続するためのモチベーション維持法
習慣化のコツ
- 小さな目標から始める:いきなり完璧を目指さず、「今日は階段を使う」など小さな目標から
- 記録をつける:体重よりもウエストサイズや体調の変化を記録すると、変化が見えやすい
- 仲間を作る:友人や家族と一緒に取り組むと続けやすい
- ご褒美システム:1 週間続いたら好きなことをするなど、自分なりのご褒美を設定
続けやすい環境づくり
- 運動着を見える場所に置く
- 歩数計アプリで日々の成果を可視化
- カレンダーに運動した日にシールを貼る
- SNS で進捗を共有する(プレッシャーになりすぎない程度に)
モチベーションが下がった時の対処法
- 変化の写真を撮る(月 1 回、同じ服装で)
- 健康診断の数値を励みにする
- 「なりたい自分」をイメージして壁に貼る
- 挫折しそうなときの対処法を事前に決めておく
何より大切なのは、「完璧じゃなくていい」と自分を許すこと。3 日坊主になっても、また始めればいいんです。40 代は人生の折り返し地点。これからの健康的な生活のために、今始めることが未来への最高の投資になります。
セラピストからのアドバイス
皮下脂肪と内臓脂肪について大切なことをお伝えします。
まず、40 代は体の転換期です。今まで通りの生活をしていても、脂肪のつき方が変わってくるのは自然なこと。大切なのは、その変化を正しく理解し、適切に対応することです。
内臓脂肪は確かに健康リスクが高いですが、同時に落としやすいという特徴があります。週 3 回、30 分の有酸素運動と、食事の見直しで、3 ヶ月もあれば目に見える変化が期待できます。
一方、皮下脂肪は健康への直接的な害は少ないものの、見た目を気にされる方が多いです。こちらは根気が必要ですが、筋トレを取り入れることで、引き締まった体を作ることができます。
また、ケアの現場で感じるのは、ストレスが脂肪の蓄積に大きく影響しているということ。特に内臓脂肪は、ストレスホルモンのコルチゾールと密接に関係しています。運動や食事だけでなく、リラックスする時間を作ることも大切です。
営業職のような外回りが多い方は、移動時間を運動時間として活用したり、会食時の食べ方を工夫したりすることで、仕事をしながらでも内臓脂肪対策ができます。
最後に、数値にとらわれすぎないことも重要です。体重よりも、体の調子や見た目の変化、そして何より健康診断の数値の変化を目標にしてください。小さな変化の積み重ねが、大きな成果につながります。
よくある質問
Q: 内臓脂肪と皮下脂肪、両方ある場合はどうすればいいですか?
A: まずは健康リスクの高い内臓脂肪から減らすことを優先しましょう。有酸素運動と食事の見直しを始めれば、内臓脂肪が先に減り始めます。その後、筋トレを加えて皮下脂肪にもアプローチしていくのが効果的です。両方同時に減らそうとすると、極端な方法に走りがちなので、段階的に取り組むことをおすすめします。
Q: 更年期になると内臓脂肪がつきやすくなるのはなぜですか?
A: 女性ホルモンのエストロゲンには、脂肪を皮下に蓄積させる働きがあります。更年期でエストロゲンが減少すると、男性のように内臓に脂肪がつきやすくなるんです。また、基礎代謝も低下するため、今までと同じ生活でも太りやすくなります。だからこそ、40 代からは意識的な運動と食事管理が重要になってきます。
Q: お腹の脂肪を落とすのに腹筋運動は効果的ですか?
A: 残念ながら、腹筋運動だけでお腹の脂肪を落とすことはできません。腹筋運動は筋肉を鍛えるもので、脂肪を直接燃焼させる効果は限定的です。特に内臓脂肪には、有酸素運動の方が圧倒的に効果的。ただし、腹筋を鍛えることで姿勢が良くなり、お腹が引き締まって見える効果はあります。有酸素運動と組み合わせることをおすすめします。
Q: 内臓脂肪レベルはどのくらいが危険ラインですか?
A: 一般的に、内臓脂肪は全身の脂肪の 10%程度が正常とされています。ウエスト周囲径で言えば、女性は 89cm 以上が危険ライン、80cm 以上から注意が必要です。また、体脂肪率が 32〜35%を超えると健康リスクが高まります。ただし、これらは目安なので、定期的な健康診断で総合的に判断することが大切です。気になる症状がある場合は、専門医にご相談ください。
Q: ストレスと内臓脂肪の関係について教えてください
A: ストレスを感じると、体内でコルチゾールというホルモンが分泌されます。このコルチゾールには、内臓脂肪を蓄積させる働きがあるんです。また、ストレスによる過食や睡眠不足も、内臓脂肪増加の原因に。ストレス管理は、運動や食事と同じくらい重要です。深呼吸、瞑想、趣味の時間など、自分なりのリラックス方法を見つけることが、内臓脂肪対策にもつながります。
まとめ
皮下脂肪と内臓脂肪の違い、そしてそれぞれの対策について理解していただけたでしょうか。
重要なポイントをまとめると:
- 内臓脂肪の方が健康リスクは高いが、落としやすい
- 40 代女性は更年期の影響で内臓脂肪がつきやすくなる
- 有酸素運動と食事の工夫が基本
- ストレス管理も重要な要素
- 継続することで必ず変化は現れる
体の変化に不安を感じるのは当然のこと。でも、正しい知識を持って適切に対応すれば、必ず良い変化が期待できます。
まずは今日から、できることを一つずつ始めてみませんか?
小さな一歩が、大きな変化への第一歩になります。