マッサージや整体を受けた翌日、体が痛い。だるくて動く気になれない。検索すると「もみ返し」と「好転反応」という言葉が出てきて、自分がどちらなのか分からなくなる。
先にお伝えします。この2つを見分けようとすることに、あまり意味はありません。決めたいのは名前のほうではなく、「このまま様子を見てよいか、それとも受診したほうがよいか」です。この記事では、その線引きをお伝えします。
「好転反応」には科学的な裏づけがない
厚生労働省は「健康食品の正しい利用法」のなかで、はっきりこう書いています。
体調が悪くなるのはその健康食品が合っていない証拠です。(中略)「好転反応」と称し「それは体の毒素が出ている時期」「反応が出るのは効果がある証拠」などといって使用継続をすすめるケースがあります。「好転反応」に科学的根拠はありませんので、商品説明の表現として好転反応をうたうものには十分注意し、万が一、健康食品を摂取して体調が悪くなった場合には、すぐに使用を中止しましょう。 ——厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
健康食品についての記述ですが、問題にされている構図は施術でも同じです。受けたあとに具合が悪くなったことを「良くなる途中だから」と説明し、そのまま続けさせる。ここが警告されています。同省の旧版では、この表現自体が薬事法違反にあたるとまで書かれています。
「老廃物が出ている」「デトックスが起きている」という説明も耳にしますが、こちらも裏づけはありません。体の老廃物は、もともと肝臓や腎臓が処理しています。この仕組みはデトックスの本当のところで詳しく触れています。
だからといって、施術後の痛みが気のせいというわけではありません。次に見ていきます。
施術後に反応が出ること自体は、珍しくない
強い刺激が加わったあと、筋肉に一時的な痛みやだるさが出ることはあります。これがいわゆる「もみ返し」です。施術当日から翌日にかけて現れ、多くは数日で軽くなっていきます。
ただし、すべてが数日で消える軽いものとは限りません。国民生活センターがまとめた2024年度の危害情報では、整体だけで364件の報告があります。医療サービス、歯科治療に次ぐ多さです。
体を触られる施術には、こうした側面があります。だからこそ、名前を当てにいくより、次の線で見てください。
様子を見てよい場合と、受診したほうがよい場合
すぐに医療機関へ
- 手や足のしびれ、力が入らない
- ろれつが回らない、物が二重に見える、顔がゆがむ
- 動けないほどの強い痛み
- 強い頭痛やめまい、吐き気
- 38度以上の発熱
これらは筋肉の一時的な反応では説明がつきません。とくに首まわりを受けたあとの神経症状は、まれではあるものの血管の損傷が報告されているため、その場で「好転反応です」と言われても判断を預けず、すぐに受診してください。
施術者に連絡する
- 痛みが1週間以上引かない
- 前回までと明らかに反応が違う
- 施術中に痛みを我慢した覚えがある
強さが合っていなかった可能性があります。次回の参考にもなるので、伝えておくと役に立ちます。
様子を見てよい
- 筋肉痛に似た鈍い痛みが、施術を受けた場所に出ている
- 2〜3日で軽くなってきている
- 日常生活に支障がない
この範囲なら、無理に動かさず、水分をとって休んでください。当日は熱いお風呂や飲酒、激しい運動を避けると落ち着きやすくなります。
セラピストの視点:強さは、あとから上げる
当サロンでは、施術の強さについてご希望をうかがったうえで、いきなりその強さから入りません。最初は弱めに始めて、呼吸や肩の力みを見ながら少しずつ上げ、ちょうどいいところで止めます。
施術をしていて感じるのは、こりが強い方ほど「もっと強く」と希望されるということです。つらいぶん、強い刺激で早くほぐしたい。その気持ちはよく分かります。強めを希望される方は、だいたい半分くらいいらっしゃいます。ただ、こっている筋肉ほど、急な強い刺激に対する反応も出やすくなります。
ですので、施術中に「痛いけれど気持ちいい」の線を越えたら、遠慮なく声をかけてください。我慢して受けた施術は、翌日に返ってきやすいものです。伝えていただければ、その場で調整できます。
受ける前に伝えておくとよいこと
初めてのサロンでは、次の3つを先に伝えておくと、強さの調整がしやすくなります。
- 過去にもみ返しが出たことがあるか(どの施術で、どのくらい続いたか)
- 今つらい場所と、触れてほしくない場所
- 持病や服薬、通院中の症状
とくに3つ目は、施術を受けてよいかどうかの判断に関わります。骨粗しょう症や血をさらさらにする薬を使っている場合など、強さを変えたほうがよいケースがあります。
刺激の少ない施術という選び方
もみ返しが心配な方には、強い圧をかけない施術を選ぶという方法もあります。当サロンの微弱電流を使った施術は、体に流れている生体電流と同じくらいの弱い電流を用いるもので、筋肉を強く押し込む手技とは負荷のかかり方が異なります。
深く押される感覚を求める方には物足りなく感じることもあります。強めの手技が好きな方、弱い刺激で受けたい方、どちらもいらっしゃるので、初回にご希望を聞かせてください。
なお、妊娠中の方、ペースメーカーをお使いの方、悪性腫瘍をお持ちの方、てんかんのある方は、微弱電流の施術をお受けいただけません。服薬中の方も、種類によって可否が変わりますのでご予約前にお知らせください。詳しい条件は仙骨フレックスの記事にまとめています。
まとめ:名前より、線引きを持っておく
- 「好転反応」に科学的根拠はない。厚生労働省が明記している
- 施術後に反応が出ること自体はある。ただし数日で軽くなるかどうかを見る
- しびれ・脱力・ろれつが回らない・強い痛み・高熱があれば、説明を待たずに受診する
- 我慢せず、施術中にその場で伝えるのがいちばん確実
体のケアは続けてこそ意味があります。無理のない強さを見つけておくことが、結果として長く続けるための近道になります。
よくある質問(FAQ)
Q. もみ返しと好転反応は、結局どう違うのですか?
「好転反応」は科学的な裏づけのある言葉ではないため、両者を医学的に区別することはできません。厚生労働省も「好転反応に科学的根拠はない」と明記しています。施術後の反応は、名前で分類するより「数日で軽くなるか」「受診が必要なサインがないか」で見てください。
Q. 施術後の痛みは、どのくらいで治まりますか?
筋肉に一時的な反応が出ている場合、多くは数日のうちに軽くなっていきます。1週間以上続くとき、日ごとに強くなるときは、施術者に連絡し、必要に応じて医療機関にご相談ください。
Q. 「好転反応だから続けましょう」と言われたら、どうすればいいですか?
その説明を理由に続ける判断はしないでください。厚生労働省は、体調が悪くなったときに「好転反応」と説明して継続をすすめる手法に注意を促しています。まずは中断し、症状が強い場合や続く場合は医療機関にご相談ください。
Q. 施術後にお風呂に入っても大丈夫ですか?
痛みや熱っぽさがある当日は、熱いお湯や長風呂を避け、シャワーか、ぬるめのお湯で短めに済ませるのが無難です。落ち着いてきたら、温めて血流を促すほうが楽になることが多いです。
Q. もみ返しを防ぐ方法はありますか?
初回から強い施術を受けないこと、施術中に痛みを我慢しないこと、この2つが効きます。当サロンでも、ご希望の強さがあっても最初は弱めから始め、様子を見ながら上げていきます。強さの希望は遠慮なくお伝えください。
Q. 施術を受けないほうがよい状態はありますか?
発熱しているとき、けがの直後、炎症が強く出ているときは避けてください。骨粗しょう症や、血をさらさらにする薬を使っている場合は、事前に施術者にお伝えください。なお当サロンでは、妊娠中の方、ペースメーカーをお使いの方、悪性腫瘍をお持ちの方、てんかんのある方は施術をお受けいただけません。