7時間寝ても疲れが取れない原因は脳内マグネシウム不足?デスクワーク女性の睡眠を変えるL-スレオニン酸

7時間寝ても疲れが取れない原因は脳内マグネシウム不足?デスクワーク女性の睡眠を変えるL-スレオニン酸

「ちゃんと7時間は寝ているのに、朝から体がだるい」「昼過ぎになると頭がぼんやりして集中できない」…そんな悩みを抱えていませんか?

睡眠時間は確保しているはずなのに疲れが取れない。それは睡眠の「時間」ではなく「質」に問題がある可能性があります。そして近年、その質を左右する意外な要因として注目されているのが脳内のマグネシウム濃度です。

睡眠の質を下げる原因はストレスや鉄不足などさまざまですが、この記事では見落とされがちな 「脳内マグネシウム濃度」 に注目します。マグネシウムと睡眠の関係から、脳に届きやすいとされる「L-スレオニン酸マグネシウム」の2024〜2025年の臨床試験まで、分かりやすく解説します。

※この記事は特定のサプリメントの効果を保証するものではありません。持病のある方、服薬中の方は必ず医師にご相談ください。

マグネシウムが睡眠の質を左右する3つの理由

マグネシウムは体内で600種類以上の酵素反応に関わるミネラルですが(de Baaij et al., 2015)、睡眠においても重要な役割を果たしています。主に3つの経路で、眠りの質に影響を与えると考えられています。

1. 脳の興奮を鎮める「ブレーキ役」

マグネシウムはNMDA受容体という神経の「アクセル」をブロックする働きがあります。イメージとしては、日中フル回転していた脳に「もうそろそろ休みましょう」とブレーキをかけてくれる存在です。

2. リラックスモードへの切り替えをサポート

脳内でリラックスを促す神経伝達物質・GABAの働きを高める作用もあります。GABAがしっかり働くことで、交感神経から副交感神経への切り替えがスムーズになります。

3. 体内時計の調整に関わる

睡眠ホルモン「メラトニン」の合成にも、マグネシウムは関わっています。動物実験では、マグネシウムがメラトニン合成に必要な酵素の活性を高めることが確認されており(Billyard et al., 2006)、不足するとメラトニンの生成が滞り、寝つきや睡眠リズムに影響が出やすくなると考えられています。

デスクワーカーに多い「マグネシウム不足の悪循環」

厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)では、30〜49歳女性のマグネシウム推奨量は290mg/日とされていますが、国民健康・栄養調査の結果を見ると、実際の平均摂取量は推奨量を下回っている状況です。

特にデスクワーカーの方は、こんな悪循環に陥りやすいです。

仕事のストレスで体内のマグネシウムが消費される → 疲れを感じてカフェインに頼る → カフェインの利尿作用でさらにマグネシウムが排出される → ストレスへの耐性が下がる…。

心当たりのある方は、まずこの悪循環に気づくことが第一歩です。

普通のマグネシウムでは「脳に届きにくい」理由

「じゃあマグネシウムのサプリを飲めばいいのでは?」と思うかもしれません。ところが話はそう単純ではありません。

私たちの脳には 血液脳関門(BBB) という仕組みがあります。これは脳に入る物質を厳しく選別する「関所」のようなもの。有害な物質から脳を守るために重要な仕組みですが、マグネシウムにとっては少し厄介な存在です。

一般的なマグネシウムサプリの問題点を整理すると、

  • 酸化マグネシウム → そもそも腸での吸収率が非常に低い
  • クエン酸マグネシウムなど吸収率の高い形態 → 体には吸収されても、脳内濃度は上がりにくい

つまり「よく吸収される=脳に届く」ではない、というのがポイントです。

そこで注目されたのが L-スレオニン酸マグネシウム(MgT) です。

2010年にMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームが発表した動物実験の論文(Slutsky et al., 2010)では、MgTを経口投与したラットの脳脊髄液中マグネシウム濃度が有意に上昇したのに対し、塩化マグネシウムやグルコン酸マグネシウムでは同様の上昇が見られませんでした。この動物実験の結果を受けて、その後ヒトを対象とした臨床試験が行われています。

L-スレオニン酸はビタミンCの代謝産物で、この構造がBBBを通過しやすい性質を持つと考えられています。つまり、マグネシウムを「脳まで届ける運び屋」のような役割を果たしているのです。

マグネシウム不足と疲労の関係についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

L-スレオニン酸マグネシウムの研究結果は?2024-2025年の臨床試験を読み解く

主観・客観の両面で睡眠改善を確認(2024年RCT)

2024年に発表されたランダム化比較試験(Hausenblas et al., 2024)では、35〜55歳の80名を対象に、MgT 1g/日を21日間摂取する群とプラセボ群で比較が行われました。

結果は、MgT群で主観的な睡眠スコア(自己評価)の改善が見られただけでなく、ウェアラブル機器による客観的な睡眠データでも改善が確認されました。さらに、日中の気分の改善も報告されています。

「自分では良く眠れた気がする」だけでなく、実際の睡眠データにも変化が出たという点は注目に値します。

認知機能の改善を示唆する研究も(2025年RCT)

もう1本の研究も見てみましょう。こちらは少し異なる結果が出ています。

2025年に発表された別のランダム化比較試験(Lopresti & Smith, 2025)では、18〜45歳の100名を対象にMagtein(MgTの特許商標名)2g/日を6週間摂取しています。

この研究で興味深かったのは、ワーキングメモリや反応時間といった認知機能の改善が見られ、認知年齢が約7.5歳若返ったと評価された点です。また、心拍数の低下やHRV(心拍変動)の改善も確認され、副交感神経が優位になりやすい状態が示唆されました。

ただし正直にお伝えすると、この研究ではアクティグラフィ(腕時計型の客観的睡眠計測)による睡眠指標には有意差が出ていません。主観的な改善は見られたものの、客観データでは差がつかなかったということです。

エビデンスの現在地

ここまでご紹介した2本のRCTは、いずれも比較的小規模な研究です。また、いずれの研究もMgTの製造元(または関連企業)から資金提供を受けて実施されています。独立した第三者機関による追試はまだ行われておらず、研究結果を解釈する際にはこの点も考慮に入れる必要があります。

L-スレオニン酸マグネシウムの睡眠への効果は 「有望だが、まだ決定的とは言えない」段階 です。

一方で、「食事からのマグネシウムを補う」ことは、研究段階のサプリとは異なり、不足を補うメリットがはっきりしていて、リスクなく今日から始められます。迷ったら、まず食事から。サプリはあくまで食事・生活習慣を土台にしたうえでの”プラスα”として位置づけるのが、いちばん賢い付き合い方だと考えています。

日常に取り入れるための実践ガイド

L-スレオニン酸マグネシウムの摂り方

上記の臨床試験で使われたプロトコルは以下の通りです。

  • Hausenblas 2024: 1g/日を就寝2時間前に摂取(21日間)
  • Lopresti 2025: 2g/日を朝1カプセル+就寝2時間前に1カプセルの分割服用(6週間)

Magtein公式サイトでは、睡眠が目的なら就寝30〜60分前、認知機能が目的なら朝の摂取を推奨しています。いずれの場合も「正確な時間よりも毎日続けることが重要」とされています。製品ごとに推奨される摂取目安量が異なりますので、パッケージの表示に従ってください。

日本国内では医薬品ではなくサプリメントとして扱われており、現時点ではiHerbなどの海外サプリメント通販サイトでの入手が中心です。「Magtein(マグテイン)」はThreoTech社の登録商標で、この名前で検索すると見つけやすいでしょう。

注意点として、持病のある方や服薬中の方は、必ず主治医にご相談のうえでお試しください。 特に睡眠薬や抗不安薬を服用中の方は、マグネシウムの鎮静作用と相互作用する可能性があります。サプリメントは医薬品ではないため、効能・効果が保証されるものではありません。

食事からのマグネシウム底上げも大切

サプリメントに頼る前に、まず見直したいのが毎日の食事です。ベースラインの摂取量を上げることが、マグネシウム不足対策の基本になります。

マグネシウムが豊富な食品の例をご紹介します。

  • ナッツ類 - アーモンドやカシューナッツは手軽なおやつにもなります
  • 海藻類 - わかめやひじきは味噌汁やサラダに加えやすい食材です
  • 大豆製品 - 豆腐や納豆は毎日の食卓に取り入れやすいですね
  • 葉物野菜 - ほうれん草は炒め物やおひたしで手軽に摂れます

特別な食材を揃える必要はありません。普段の食事に海藻や大豆製品を少し意識して加えるだけでも、マグネシウム摂取量は底上げできます。経皮(肌から)のマグネシウム補給に興味がある方は、入浴剤によるミネラル補給の記事も参考にしてみてください。

デスクワーカーのマグネシウム消耗を減らす生活習慣

マグネシウムを「摂る」ことと同じくらい大切なのが、「消耗を減らす」ことです。

  • カフェインの量を見直す - コーヒーの杯数を把握するところから始めましょう。カフェインの1日の適量を参考にしてください
  • 就寝前のスクリーンタイムを減らす - PCやスマホの光は脳を覚醒状態に保ち、入眠を妨げます。10-3-2-1-0睡眠ルールもおすすめです
  • こまめな水分補給 - 脱水はミネラルバランスの崩れにつながります。オフィスではデスクに水を置いておく習慣をつけると良いですね

セラピストとして感じる「デスクワークと睡眠」の関係

セラピストとしてこれまで多くの方に施術をしてきた中で、睡眠の悩みを抱えている方にはいくつかの共通点があると感じています。

特に多いのが、 「PC作業の時間が長い → 脳が過覚醒状態のまま夜を迎える → 体は疲れているのに眠りが浅い」 というパターンです。こうした方は施術時に首から肩甲骨にかけての筋緊張が強く、ご本人が自覚している以上に体がこわばっていることが多いです。

興味深いのは、食事内容をお聞きすると「昼はコンビニのおにぎりとサラダ」「夕食はパスタだけ」のように、マグネシウムの多い食品(海藻・ナッツ・大豆)がほとんど登場しないケースが目立つことです。午後のカフェイン摂取も習慣化していて、まさにこの記事で説明した「消耗の悪循環」に入っている状態です。

そうした方が食事でマグネシウムを意識するようになると、2〜3週間ほどで「朝の体感が少し違う」とおっしゃることがあります。もちろん個人差はありますし、食事だけで劇的に変わるわけではありません。ただ、体の緊張がほぐれやすくなったり、施術後の良い状態が長持ちしやすくなる傾向は感じています。

サプリメントも選択肢のひとつですが、セラピストの立場からお伝えしたいのは、まずは毎日の食事からのミネラル摂取を見直してみてくださいということ。そして、脳が過覚醒状態から抜け出せないと感じる方は、体の緊張をほぐすアプローチもあわせて検討してみてください。自律神経と睡眠の関係についてはこちらの記事でも詳しくお伝えしています。小さな積み重ねが、睡眠の質を少しずつ変えていく土台になります。

まとめ

7時間寝ても疲れが取れない原因のひとつとして、脳内のマグネシウム不足が関わっている可能性があります。

ポイントを整理すると、マグネシウムは脳の興奮を鎮め、リラックスを促し、体内時計を整える大切なミネラルです。一般的なマグネシウムサプリは脳に届きにくいですが、L-スレオニン酸マグネシウムはBBBを通過して脳内濃度を高められる可能性が研究で示されています。

とはいえ、サプリメントだけに頼るのではなく、食事からのマグネシウム底上げ + 生活習慣の改善を土台にすることが大切です。

まずは今日の夕食に海藻やナッツを一品加えることから始めてみませんか。小さな一歩が、明日の朝の目覚めを変えてくれるかもしれません。

ただし、強いいびきや日中の過度な眠気がある方、2〜3週間の生活改善でも変化を感じない方は、睡眠外来などの専門医への受診をおすすめします。セルフケアだけで抱え込まないでくださいね。

睡眠の質とパフォーマンスの関係についてさらに詳しく知りたい方は、脳内デトックスと睡眠の記事もぜひご覧ください。

よくある質問(Q&A)

Q: L-スレオニン酸マグネシウムと普通のマグネシウムサプリの違いは?

L-スレオニン酸マグネシウムは血液脳関門を通過して脳内のマグネシウム濃度を高められる点が最大の違いです。酸化マグネシウムなど一般的な形態では、吸収されても脳内濃度の有意な上昇は確認されていません。

Q: L-スレオニン酸マグネシウムはどのくらいの期間で効果を感じますか?

臨床試験では21日間〜6週間で改善が報告されていますが、個人差があります。まずは3週間ほど続けて様子を見るのがひとつの目安です。すぐに変化を感じなくても、焦らず続けてみてください。

Q: 他のマグネシウムサプリと併用しても大丈夫?

マグネシウムの過剰摂取は下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。併用する場合は、合計のマグネシウム摂取量が「日本人の食事摂取基準」の耐容上限量(通常の食品以外からの摂取で成人1日350mg)を超えないように注意し、不安な場合は医師にご相談ください。

Q: L-スレオニン酸マグネシウムは妊娠中・授乳中でも飲めますか?

妊娠中・授乳中の安全性に関する十分なデータはまだありません。必ず主治医にご相談のうえ、判断してください。自己判断での摂取はお控えください。

Q: L-スレオニン酸マグネシウムに副作用はありますか?

臨床試験では重大な副作用は報告されていませんが、過剰摂取による下痢や腹部の不快感が起こる場合があります。推奨用量を守り、体調に異変を感じたら摂取を中止してください。

Q: L-スレオニン酸マグネシウムは日本国内で購入できますか?

現時点では日本国内での流通は限られており、iHerbなどの海外サプリメント通販サイトでの購入が一般的です。「Magtein」「L-Threonate」で検索すると見つけやすいでしょう。

Q: 食事からのマグネシウム摂取だけでは不十分?

食事からの摂取が基本です。ただし国民健康・栄養調査の結果では平均摂取量が推奨量を下回っている現状があり、意識的に海藻・ナッツ・大豆製品を食卓に加える工夫が必要です。それでも不足を感じる場合にサプリメントを検討すると良いでしょう。

Q: マグネシウム不足かどうかの判断方法は?

体内のマグネシウムの大部分は骨や細胞内に存在するため、一般的な血液検査では不足を見落としやすいのが難点です。筋肉のけいれん、寝つきの悪さ、慢性的な疲労感などが複数当てはまる場合は、食事内容を見直してみることをおすすめします。

Q: カフェインを減らすだけでもマグネシウム不足は改善する?

カフェインの利尿作用によるマグネシウム排出を抑えられるため、改善の一助にはなります。ただし、それだけでは摂取量そのものは増えません。カフェインの適量管理と食事からの摂取増加を、セットで取り組むのがおすすめです。

Q: L-スレオニン酸マグネシウムと睡眠薬の併用は問題ありませんか?

マグネシウムには神経の興奮を抑える作用があるため、睡眠薬の効果に影響を与える可能性があります。睡眠薬を服用中の方は、必ず主治医にご相談のうえで判断してください。